「あ、綾子…」

僕は、何とか身を起こし、立ち上がろうとするが…力が入らない。

思ったより、ダメージが大きい。

「赤星…わかっただろ」

アルテミアの声に、僕は両手を地面につけて踏張ると、何とか立ち上がろうとする。

「まだ…まだ…」


すると、すぐ目の前に綾子が、テレポートしてきた。


「これで、終わりよ」 

綾子の爪をさらに伸ばし、僕の脳天を串刺しにしょうとする。


「チッ!」

その時、アルテミアが舌打ちした。

「赤星!避けろ!」


「え?」



突然、雷鳴が轟き、

雷が、二人のいる場所めがけて、落ちてきた。


直撃したと思った時、僕の頭上に飛んできたチェンジ・ザ・ハートが、雷を受け止めた。

「なんだ?」

綾子は思わず、僕から離れた。すると、横合いから唐突に現れた黒い影に、吹き飛ばされた。

影は、三メートルはある大男で、蹴りを綾子の横腹に入れたのだ。


僕は、その大男を知っていた。

「久しぶりだな…。少年」

大男は、僕を見下ろしながら、口元を緩めた。



吹き飛ばされた綾子は、すぐに体勢を整えると、状況を判断しょうと、自分を蹴ったと思われるものを探した。

すると、真後ろから、凍り付くような冷たい殺気を感じ…慌てて、振り返った。

いつのまにか、綾子の後ろを取ったのは…女だった。

しかし、その女は…人間ではなかった。角があったのだ。

頭に生える二本の角は、一本が折れていた。


「ギラ!」

僕は何とか…力を込めて、立ち上がった。

チェンジ・ザ・ハートが、トンファータイプとなり、僕の両手に装備される。

ギラは、不敵に笑う。

僕の目の端に、綾子の前に立つ…サラをとらえた。