飛び掛かってくる数千の地縛霊に、シャイニングソードから溢れた光が、降り注ぐ。


すると、一瞬にして…地縛霊達は、浄化された。

シャイニングソードの輝きは、空中にいる綾子を照らした。

その暖かに…綾子は懐かしいものを感じたが、

「くそお!」

綾子はその感情を否定するかのように、自分の体に爪を突き立てた。

「あたしは、騙されない!」

そのまま、両手を重ねると、爪を突き出して、綾子は僕に向かってくる。回転を加えて、鋭さを増して。

「赤星…」

アルテミアが、心配気に呟いた。

僕は、顔を上げ、ほぼ直角に落ちてくる綾子を見つめた。



「赤星…」

アルテミアの言葉は続いた。

「お前の強さに、問題はない…。だからこそ…」

僕は、シャイニングソードを真上に向けて、突き出した。


「お前は…勝てない」

シャイニングソードの先端が、ピンポイントで、綾子の爪の先をとらえた。

回転する爪が、シャイニングソードによって、削れていく。

僕は顔をしかめると、体を横に滑らせ、シャイニングソードを外した。

綾子が勢い余って、地面に激突する前に、横から蹴りをいれて、体勢を立て直させる。


綾子は一回転し、地面に着地した。


「お前は、綾子を殺すことができない!そして!」


綾子は、すぐに地面を蹴って、僕に飛び掛かってくる。

炎を帯びた拳が、僕の顔面にたたき込まれた。


しかし、僕は平然と…一歩も動かずに、拳を受けた。

その事実に、驚く綾子。


アルテミアは、冷静に…事実を口にした。

「こいつの…今の魔力では、お前に傷一つつけれない。そう…」

アルテミアは、思い出していた。

「かつて…お前と会った頃の…あたしのように…」



僕は、アルテミアの言葉を理解できなかった。いや、真剣には聞いていなかったのだ。

ただ…目の前にいる綾子が、自分に襲い掛かってきているという…事実が悲しかったのだ。