「さすがは、太陽のバンパイア!」

今度は、炎を纏った綾子が空中から、回転しながら落ちてくる。そして、僕めがけて、かかと落としを決めようする。

「く!」

反射的に、ライトニングソードでかかと落としを受けとめようとしたが、慌てて…左腕に変えた。

「こうちゃん!」


落下と回転力により、威力の増したかかと落としは、僕の左腕に決まると同時に、電流を流した。

高圧電流が、僕の全身に駆け巡り、青白く発光した。

「こうちゃん!」

原発の外壁の端まで、移動させられた明菜は、結界が消えると、走りだそうとしたが、

僕が制した。

「近づくな!」

結構、離れているはずなのに、熱気が明菜の全身を貫いた。 

熱気というよりも、闘気だ。

「明菜…」

かかと落としを受けとめながら、僕は明菜の方に顔を向けた。

そして、再会して…初めて微笑んだ。


「心配するな」

気を抜くと、左腕がへし折れそうな襲撃を受けとめながら、僕はせいいっぱいの笑顔を明菜に見せた。

その笑顔に、明菜は涙を拭った。

「すべてが、終わったら…お前に、会いに行くよ!そして、すべてを話そう!だから、今は…」

僕の言葉に、明菜は頷き、唇を噛み締めると、

僕に背を向けた。

そして、走りだす。


(こうちゃん…。死なないでね)


明菜の姿が見えなくなると、僕は左腕に力を込めて、片腕だけで、綾子を跳ね返した。

前方に回転して、着地した綾子は、前屈みになり、両手を広げた。

すべての指先から、鋭い爪が飛び出し、僕に襲いかかってくる。

「綾子…」

僕は、ライトニングソードをトンファータイプに戻すと、僕の首筋を狙ってきた爪を受け止めた。

「お前と、ゆっくり話がしたい!だから、場所を変えるぞ!」

僕の周りに、風が起こり…二人を包んだ。