「やはり…お前と同じか…」

僕の右耳に付けた…稲妻のよう形をしたピアスから、アルテミアの声がした。


前に立つ綾子の圧倒的な魔力が、空気を突き破って、僕の肌に突き刺さった。

だけど、僕は表情一つ変えない。

「赤星。お前のまま…モード・チェンジはするなよ。まだ完全に傷が、完治しているわけではないからな」

数日前…僕は後ろから、刺された。心臓を一突きされたのだ。

刺した相手は、実の妹だ。今…目の前にいる。

魔力の源である心臓を刺されてたことで、僕はしばらく動けなくなっていたのだ。

「わかっている。心配しないで」

僕は、両手に持っているトンファータイプのチェンジ・ザ・ハートを、胸元で交差されると、

一本の剣にした。

ライトニングソード。異世界…ブルーワールドの勇者ティアナが、使っていた武器。


ライトニングソードを、手に取るのを見た綾子は、さらに顔を歪ませた。


「家族を捨てた男が!今度は、妹を殺すのか!」

綾子の両腕に、風がまとわりつき、まるでドリルのようになると、

綾子はそれを、僕に向けて放った。背中の黒き翼も、羽ばたかせ、風力が増す。

風のドリルとナイフが、僕を襲う。

「ライトニングウェイブ」

僕は、ライトニングソードを横凪ぎに、振るった。

雷のかまいたちが、風のドリルとナイフに、ぶつかった。

「まさか…」

アルテミアは、あることに気付いた。

2つの技が、相殺された後、いきなり視線から消えた綾子。


「早く行くんだ!明菜!」

後ろにいる明菜を気にしている為か…赤星はここから動けない。

上空から、雨のようにつららが、落ちてくる。

もう限界だった。

僕は、明菜に向かって手をかざすと、彼女を結界で包み…遥か後方へ移動させた。

「よそ見している場合か!」

綾子の声が、上空から聞こえた。

明菜を守った為、つららを叩き落とすことができなかった。

「こうちゃん!」

明菜は結界の中で、叫んだ。

突き刺さると思われた瞬間、僕は、全身に気合いをいれた。

僕の体は炎を包まれた。つららは突き刺さる前に、すべて蒸発した。