優人saidー

ツーツーツー…

電話が切れたことを知らせる音が鳴る携帯をいつまでも眺めていた｡


「優人ぉー？」

「お前……言ったのか？」

「へ？」

「みさきに、俺のこと言ったのか？」

「だってさー、そろそろだったでしょ？ふるのｸｽｯ」

「ふざけんな！今回は……」

ｶﾞﾗｶﾞﾗｯ!

凄まじい音を立てて、俺の言葉を遮ったのは勢いよく開かれた部屋のドアだった｡

振り向くと、そこには物凄い形相で俺達……いや、俺を睨むみさきの幼馴染みの内野の姿があった｡


「お前は……」

「てめぇ、みさきに何をした」

低い、落ち着きのある声で言った｡


「そ、それは……」

「みさきの気持ち……もて遊んだんだろ？」

「……」

否定出来ない｡
最初はそのつもりだったから｡
けど今は……

「ふざけんなよ！あいつは本気でお前のこと好きだったんだよ！なのにお前は……｡ぜってぇ許さねぇ｡もうお前にみさきは渡さない！」

勢いをつけて、内野は部屋を出て行った｡


「どうして、いつもみたいに堂々としないの？普段の優人なら……」

「今回は違うんだよ」


内野のあとを追うように、入り口を見ながら言った｡