黄昏に香る音色 2

あれから、数年…。

今の律子の頭にあるのは、復讐である。

和也を、時祭財団の跡取りにして、すべてを奪う。

その目的の為にだけ、存在していた。

時祭に与えられた家で、命じられるままに、生きながら…。



「絶対に。兄さんには逆らっては、駄目!いけません」

そう言う律子の瞳の中に、嫌なものを見、

和也は目をそらし、律子の腕を払いのけた。

「わかってるよ…母さん」

「本当ね!本当なのね」

何度もそう確認しながら、律子は部屋を出た。

和也はそばにあった枕を、ドアに投げつけた。

そして、

ベットに顔をうずめ、何の力もない自分を呪った。

「くそっ!」

今は、自分を責めるしかなかった。