黄昏に香る音色 2

「藤木くんこそ…どうして、大路に?」

和也は、人並みに背を向けていた。

「俺?俺は…おじさんの命令だ」

「命令?」

「そう…命令」

「藤木くんだったら、もっと上の私立に、いけたんじゃないの?」

「それは、如月もだろ」

里緒菜は黙る。

「決まっていたさ…。俺も、あいつもな」

和也の横顔に少し、陰が落ちる。

「直樹さ…」

「ナオくん?」

「東條高校に推薦が、二人とも決まっていたんだが…」




中学三年のある日。

和也は、時祭会長の呼び出しを受けた。

会長室の前に立ち、ノックをした後、扉を開けた。

「失礼します」