黄昏に香る音色 2

「驚いたわ…藤木くんが、時祭会長の親戚だなんて…」

大人たちが笑顔の下、いろんな思惑を隠して、話し合っている。

そんな輪から、少し離れて、里緒菜と和也はテラスにもたれていた。

和也はワインを傾けながら、

「あまり…言いふらすものでもないしな…」

里緒菜は、人々の動きを眺めていた。

「如月こそ…あまりそういうこと言わないよな」

「知ってる者は、知っているわ…」

如月グループ。

飲食業を基本としながら、数多くのレジャービルを手がけながらも、店名に、如月は入れてしない。

しかし、店自体は、全国的に千店舗以上あり、有名である。

学校でも、如月グループの一人娘だと知ってる者は、
生徒も先生も、態度が違った。

里緒菜は、普通の学生生活が、したくって、中学校まで私立だったのを無理やり、高校だけ公立に行くことを、親に進言した。

成績は落とさずに、つねに全国模試で上位にいること、大学卒業後は必ず、

家を継ぐこと。

そして、

親の決めた相手と結婚すること。

決められた未来。

今だけが、自由になれる時期だった。

それなのに…

学校でも…。