黄昏に香る音色 2

「お呼びですか?」

会長室に入った和也の目の前に、

札束が積まれた。

「これは…」

驚く和也に、

光太郎は、和也の目をじっと見つめながら、

「投資だ…若いお前たちの可能性にな」

「しかし…」

躊躇う和也に、

「もし…これが、紙屑になったとしたら…」

光太郎はフッと笑い、

「この時祭光太郎に…先を見る目がなかった。それだけのことだ」

和也は、言葉を失う。

光太郎は、和也に顔を近づけ、

「それとも…何か?わしの判断は、間違ってるとでもいうのか?」

和也もじっと、光太郎の目を見、

やがて、

頭を下げた。

「いえ…」

光太郎はにやっと笑い、

「だったら、待っていけ!律子の店だけじゃなく、如月とこの娘の件もあるだろが!」

大声で、叫んだ。

「ありがとうございます…おじさん」

深々と、頭を下げる甥の姿に、

光太郎はただ頷いた。