黄昏に香る音色 2

裏口から、ステージ横に出る通路を歩く明日香の後ろ姿を、ぼおっと見送ってしまう啓介。

すぐに、我に返り、

深いため息をついた。

「かなわないなあ…」

そう呟くと、啓介はそっとキスされたところに触れると、

軽く笑い、

明日香の後を追って、通路を歩き出した。

ステージでは、音楽が鳴り続けていた。

明日香が愛し、啓介を育てた…かつてのダブルケイの音。

明日香の歌とトランペットと、

啓介のサックスが絡み合い、

過去ではない…未来の音を奏でだした。