黄昏に香る音色 2

会場に着いた優が、扉を開き、受付に参加票を渡していると、

舞台の扉が開き、香里奈が出てきた。

香里奈は、そのまま全速力で、外への扉まで走り、

会場から出ていく。


「速水さん?」

あまりに速かったから、

優は、はっきりと確認することができなかった。


香里奈は階段を上りきり、

モノレールの駅まで続く銀杏並木道の一本の木に、しがみ付いた。

顔を伏せながら、

表情を隠し、

声を上げずに、

香里奈は泣いた。


不合格。

さっきまで、自信満々だった自分。

天狗だった自分。

くやしさより、

自分自身への恥ずかしさに、

香里奈は泣いた。