黄昏に香る音色 2

頭上を通り過ぎた飛行船を見上げながら、

目で追うサミー。

啓介は、歩き出す。

「しかし…どんなに、すばらい歌でも…子供の頃にきいた…母さんの歌声にはかなわない…」

「ママの子守歌か…」

「特別な歌だ…」

啓介は、微笑んだ。

「母親が、子供の為に、愛情だけで歌う歌…」

サミーはにやっと笑い、

「男は誰も…」

啓介は足を止め、

振り返り、

「マザコンだ」

そう言うと、

2人は笑い合った。