黄昏に香る音色 2

「何だ…」

遠くの方から、悲鳴が聞こえた。

妙な雰囲気を感じ、食事を止めて、直樹は、屋上の出入り口に近づいた。

爆発音が聞こえ、

階段を覗くと、下から、煙が見えた。



階段を上がってくる者が、いた…。

淳は、空になったボストンバックを捨て、上着のポケットに、手を突っ込んだ。

直樹は、淳の姿を認めた。

「先生…」

淳は、ゆっくりと階段を上がってくる。

「何かあったんですか?」

直樹の質問に、淳はニヤリと笑った。

包丁は隠していた。

「先生…?」

「ここに…速水さんはいる?」

淳は、階段を上りきった。

直樹のそばに立つ。

「ええ…いますけど…どうかしました?」

怪訝そうな顔を、向けた直樹。

「そうか…」

淳は上着のポケットから、

手を出した。

「先生…」

直樹の体に、電流が走った。

その場に崩れ落ちる直樹。



「飯田…どうした?」

恵美と祥子が、階段に顔を出した。

「先生…?」

「飯田!」

倒れている直樹と、淳の姿を認め、2人は驚いた。

「何でもない」

淳は、スタンガンを持っていた。