「エエー!」

残念そうな声を上げながら、女子は、和也の視線の先を見た。

「なあんだ…高木優か…」

「高木優………!?」

和也は気づいた。

「あんな目立たない、地味な子が…まさか!」

もう女子の言葉は、きいていない。

優は、前を向いて…決して、こちらを見ない。

「ありがとう」

女子に礼を言うと、和也は、自分のクラスに戻っていった。

「あれが…高木優か…」



3限目が始まるチャイムが、学校に鳴り響いた。