黄昏に香る音色 2

「ったく…うちは…」

炊飯器から、ご飯をお茶碗に入れながら、香里奈は、ぼやいていた。

昨日、店を閉めるのが遅くなった為、

里美は、朝ご飯の用意はしてくれていたけど、味噌汁とか、温めなくてはならなかった。

さらに、

香里奈の寝坊により、今まさに、時間との戦いだった。

時間はないが、朝ご飯を抜く訳にはいかない。

「来月から…どうすんのよ」

日本に住むことになった香里奈の妹ー和恵は、来月から編入で、小学校に通うことが、決定していた。

慌てている香里奈の耳には、朝のニュースも…つけてはいるけど、

聞いてはいない。

朝のキャスターが、話し出す。

「今。アメリカで、話題を独占している歌手…クリスティーナ・ジョーンズとは…


「ああ〜もう時間がない」

食べ終わった食器を、台所で水に浸す。

「彼女の歌声は…パーフェ」

画面に、とても綺麗な金髪の女が映った。

「もう、時間がなあい!」

香里奈は、テレビを消した。