黄昏に香る音色 2

一番乗りで、教室に来て、授業の準備をする。

それが終わっても、まだ誰も来ない…。

里緒菜は、そんな一人でいる空間が好きだった。

家と学校の狭間。

誰もいない時。

人は、早く来て真面目と言うけど…。

里緒菜にとって、それはとても貴重な時間だった。

朝のひんやりした空気も、気持ちよかった。

気持ちを落ち着かせ、大きく深呼吸して、ぼおっとする。

なんて、うれしい時なんだろう…。

自然と笑みがこぼれた。

新しい脚本を書かなくちゃいけないけど…。

今は何も浮かばなかった。

満たされてるわけじゃないけど、新しいストーリーは浮かばなかった。

(そういえば…香里奈が…)

思い出そうとした時、

「!?」

里緒菜は当然、妙な視線を感じ、廊下の方を見た。

1人の少女がじっと、里緒菜を見つめていた。

(誰?)

里緒菜は訝しげに、少女を見た。見覚えはない。

少女はフンと、鼻で笑うと、歩き出し、教室の向こうに消えていった。