黄昏に香る音色 2

「和也!いくぞ」

一階から、直樹は叫んでいた。

鞄を抱え、もう学校にいく準備は終わっていた。

ほぼ同時に起き、朝ご飯もいっしょに済ませたはずなのに…。

朝の準備は、直樹の倍はかかっていた。

「お待たせ」

和也は二階から、ゆっくりと降りてきた。

「忘れ物はないの?」

二階から、律子の声がした。

「ないよ!まだ寝てろよ」

夜遅くまで、小料理屋を切盛りしている律子の体を心配して、朝ご飯等は、直樹や和也が用意することになっていた。

最近まで、一人暮らしだった直樹には、朝ご飯をつくるくらい苦ではなかった。

「ナオくんも、気をつけて、いってらっしゃい」

それでも気になるのか…必ず、2人が学校にいく時間には、一度起きて、見送っていた。

(それが、母親か…)

直樹は母親の有り難さを、実感していた。