「…で、どうするの?」

「まだわかんない」

直樹の質問に、

香里奈は、鞄を振り回しながら、こたえた。

学校の帰り道。

もう日が沈むのが、早い。

真っ赤な夕焼けの中、

前を歩く…香里奈の後ろ姿を見つめながら、

直樹は、ため息をついた。



突然、

香里奈は、足を止めた。

勢いよく、振り返り、

「ねえ。ナオくん」

「な、何?」

直樹は、目をパチパチさせてた。

香里奈は、直樹に近づき、
顔を、

直樹に、近づけてくる。

「な…」

びっくりする直樹の視線は、近付く香里奈の唇に、吸い寄せられる。

思わず、唾を飲み込んだ直樹に、

香里奈は、





にっと微笑んだ。

「今日、あたし…店で歌うんだ!見に来ない?」

「ああ…」

直樹は、がくっと肩を落とした。




「はあ〜」

また…ため息をついた直樹は、

先を歩いていく香里奈に追い付く為、走ろうとした。


「すいません」

いきなり横の道から、

誰かが飛び出してきた。

「ご、ごめん。大丈夫!」

直樹のぶつかったのは、

同じ学校の

知らない生徒だった。