黄昏に香る音色 2

店内の電気を付け、カウンター内の食器をチェックしていた和也は、

奥の棚にあるテレビに、気づいた。

「まだつくのか?」

カウンターを出て、テレビの横に置いてあるリモコンを手にとり、電源を入れた。


「只今、会場の外は、大勢のファンが詰めかけています」

テレビはすぐについた。

「人気歌手、天城志乃さんの突然の引退…そして、新しいボーカリストの発表により、ファンの間では賛否両論が飛び交っています」

「コンサート…」

和也は、画面を見つめた。

「天城志乃さんが、所属するバンドはもともと、世界中で、有名なバンドでした…そこに天城さんが参加し、彼女は、有名になりました」

レポーターのバックには、志乃の写真を掲げ、

コンサートに反対しているファンの姿も、映っている。

「しかし、昔からのファンに言わせますと。天城さんいない今のバンドこそが、もともとの姿であると」

カメラが動き、会場の周りを映す。

LikeLoveYouと書かれたボードを持つものもいる。

「まだ未確認ですが…現在のメンバーには、今、世界中を騒がしている人が、参加しているという情報があります」

レポーターが、何かを受け取った。

「只今、入った情報によりますと、新しいボーカリストが、会場に入った模様です」