黄昏に香る音色 2

「どういうことなの?」

放課後。

屋上に集まった香里奈たち。

祥子が、香里奈に詰め寄った。

「わ、わからない…何が何なのか…」

香里奈は後ずさる。

「天城志乃は、知ってたの?」

金網にもたれた里緒菜が、きいた。

香里奈は頷く。

「でも、もう何年も会ってなかった…」

香里奈は、ちらっと直樹を見た。

少し離れたところにいる直樹は、黙っていた。


「今大人気だった志乃が、引退ってだけで、騒ぎになってるのに…」

「新しいボーカルが、決まったなんてことになったら…」

祥子と恵美の言葉を受けて、里緒菜が続ける。

「少なくっても、大騒ぎになるわ。学校には来てないみたいだけど…あんたの家は、危ないんじゃない」

香里奈ははっとし、

「うちに電話してみる」

携帯を取り出し、ダブルケイにかける。

なかなかでない。




やっとつながった。

「あっ!里美おばさん」

携帯の向こうから、激しい騒音が聞こえる。

「香里奈!あんた、しばらく家に帰ってきたらダメ!凄いマスコミの数!」