ライブが終わり、志乃たちがステージを降りる。

ヘトヘトになって、帰ってくる大輔たち。

その後ろから、志乃が歩いてくる。

観客が、見えるところまでは、普通に歩いているが…見えないところに来ると、

いきなり、そばにある壁に手をつき、激しく息をする。

「おい、大丈夫なのか?」

その様子を見ていたジャックが、ティアに言った。

「さあ〜」

ティアは、横目でちらっと見たが、そのまま会場から歩きだす。

「別に、倒れてもいいじゃない。変わりは、いくらでもいるわ」

「しかし…あれ程の歌手だぞ」

「あれくらい…見つけられる。歌手になりたいやつなんて、いっぱいいるわ」

ティアは、平然と歩いてくるKKに微笑んだ。

「ただ歌いたい。歌が好き…有名になりたい…って、バカは世界中にいるわ。だけど…」

ティアは、KKに走り寄った。

「彼は、一人だけよ」

ジャックは、ティアとKKを見ながら、耳栓を取った。

「音楽は、使い捨てか…」

ジャックはタバコを取り出し、口にくわえた。

「まあ…金になればいい」

火をつけ、煙を吐き出した。