黄昏に香る音色 2

何とも言えない気分のまま、

直樹は帰途についた。

何もできなかった。

しかし、

やるべきでもない。

今、抱いてる気持ちは、

同情や憐れみだ。

愛情ではない。

恋愛は、同情や憐れみでするものじゃない。

特に、

勇気を持って告げた人には。

真剣な心、気持ちは、

大切な人だけに捧げるものだ。



ダブルケイのある駅から、一つ向こうに、直樹の最寄り駅があった。

電車を降りて、すぐ…駅前に、直樹が今住んでいる家があった。

家の玄関先に、誰かいた。

直樹に気づくと、

「よお」

軽く手を上げた。

「和也…」

待っていたのは、和也だった。