Caught by …



 真夜中、私とレイはおやすみのあいさつもしないで電気を消して、別々に寝る静かな部屋だけれど重苦しい空気が充満していた。

 彼が悪い。トムとのことで悩む私の気持ちも考えず、都合の悪い質問をすると拒絶するくせに私の体を求めてきて…レイが悪いんだから!

 一人かけのソファに小さく丸まって薄い毛布に包まれながら、無理矢理目を閉じて眠ろうとする。

 彼はベッドを占領して寝ているけど、さっきから寝返りばかりして私と同じようにまだ寝付けていないみたいだ。そのことがまた私をイライラさせて、眠らせてくれない。

 私も別に言いたくないことを無理に聞き出そうとしたいんじゃない。ただ、その言い方の問題なのだ。何が関係ないよ、何が興味本位よ。

“悪いけど、それは言えないんだ”

 …ぐらい、言えば私だって納得するのに。

 頭の中で彼の冷たい言葉と表情を思い出せば思い出すほどむかむかと腸が煮えくり返って、ますます目が覚めてきた。

 しまいには、浴室から聞こえる滴が落ちるぽたぽたという音まで聞こえてきだすから、私は目を開けるしかない。

 ここは古い造りで、蛇口もしっかり閉めないと水が止まらない。きっとレイの閉め方が甘かったのだろう。

 これじゃいつまでたっても眠れそうにないので、私は渋々ソファから立ち上がり暗闇のなかを手探りで歩いて浴室に向かった。

 なんとかして辿り着き、そこの電気を着けて確認してみると、やはり水がぽたぽたと流れたまま。私はため息を吐いて蛇口をきゅっと閉めた。

 とにかく水の音を気にすることはなくなって、寝やすくなった。早く戻ろうと浴室から出たら…