だけど、どうしてか距離を感じる。

 ある程度大人になってから友達になると、こういう仲になるのだろうか。

 地元の高校に通っていた時の友人関係とはまた違う関係に、最初は戸惑ったものだった。

 …今はもう慣れて、戸惑いも自然と消えていたのだけれど。

 そういうものだと折り合いをつけて、それに慣れて、また新たな環境に進むことが大人になること…なんて勝手に考える。

 そうして考え事をしていたせいでぼんやりしていたらしく、アンネに肩を揺さぶられて現実に戻る。

「またぼーっとしてるよ!ちゃんと眠れてる?大丈夫かい?」

 笑って頷く私に、やっぱり心配そうに「そう?」と尋ねる彼女。

 …その表情の裏に、何を考えているのだろう、と考える私に彼女は気づくはずもない。

「ごめーん‼遅くなっちゃった」

 私たちの所へ小走りにやって来たベッテ。

 いつものパターン。

 三人で歩き出す。

 アンネがベッテに怒ったフリをして、ベッテは軽々しく謝り、私はその二人を笑顔で眺めて。


 いつも、なぜか、消えない。

 この日常が消えてほしくないのに、時々、全部壊したくなる。

 一番それを怖れているのは、他でもない私自身なのに。