「さっきはごめんね?二人とも高校からの付き合いだから遠慮がなくて」
長い授業が終わって、教科書を閉じていると隣のトムから声をかけられた。私は笑顔で首を振って「大丈夫」と答える。
「仲が良いのね」
「ああ、そうだね。厳しい練習も、試合で勝った時の喜びも、負けた悔しさも全部一緒に共感してきたから。今でもチームメイト全員で集まることもあるし」
彼の輝く笑顔で、どれほどチームメイトの事を信頼し大事にしているのかよく分かった。高校の思い出話を嬉しそうに話す彼に、私は胸が締め付けられた。
“あなたが好きだからよ”
トムを好きだと言いながら、レイに惹かれている私はとんでもない最低な人間だ。
誰からも愛されるトム。そんな人を騙す最低な私。
トムの両親も本当にいい人達で、家を訪ねた私を家族同然に迎えてくれた。その時に出た将来の話では結婚なんていう言葉まで出てきたくらい、私を受け入れてもくれた。
以前の私は、このままトムと家庭を築いていくのだろう、と当然のように考えていたし、それを自然なことだと思い描いていた。
今だって、その将来が実現すれば穏やかであたたかい家庭を持つことができ、私の両親との言い表せない溝も解消されるだろうと思う。
逆に、レイの側にいる私は……全く想像がつかない。
ただ、両親は…特に母親の方は反対して、最悪の場合、私との縁を切るかもしれない。
あの人はいつだって、私を思い通りにしないと気が済まない人だから。
長い授業が終わって、教科書を閉じていると隣のトムから声をかけられた。私は笑顔で首を振って「大丈夫」と答える。
「仲が良いのね」
「ああ、そうだね。厳しい練習も、試合で勝った時の喜びも、負けた悔しさも全部一緒に共感してきたから。今でもチームメイト全員で集まることもあるし」
彼の輝く笑顔で、どれほどチームメイトの事を信頼し大事にしているのかよく分かった。高校の思い出話を嬉しそうに話す彼に、私は胸が締め付けられた。
“あなたが好きだからよ”
トムを好きだと言いながら、レイに惹かれている私はとんでもない最低な人間だ。
誰からも愛されるトム。そんな人を騙す最低な私。
トムの両親も本当にいい人達で、家を訪ねた私を家族同然に迎えてくれた。その時に出た将来の話では結婚なんていう言葉まで出てきたくらい、私を受け入れてもくれた。
以前の私は、このままトムと家庭を築いていくのだろう、と当然のように考えていたし、それを自然なことだと思い描いていた。
今だって、その将来が実現すれば穏やかであたたかい家庭を持つことができ、私の両親との言い表せない溝も解消されるだろうと思う。
逆に、レイの側にいる私は……全く想像がつかない。
ただ、両親は…特に母親の方は反対して、最悪の場合、私との縁を切るかもしれない。
あの人はいつだって、私を思い通りにしないと気が済まない人だから。



