Caught by …

 彼の手がくびれをさすりながら下り、パジャマのズボンを下げて腿の内側に手を滑り込ませた。

 その手の動きがいやらしく、焦れったい。

 お腹に舌を這わせる彼の頭に手を置いて、そのさらさらした髪を梳く。彼は目だけでこちらを見上げて、聞こえるようにリップ音を響かせた。

 それを感じていると気持ちが興奮していくのに、トムの事を思い出して罪の意識がだんだん大きくなっていく。

 モヤモヤとした感情が頭の中を混乱させて、自然と涙がこぼれた。咄嗟に、見られまいと顔をそらして腕で目もとを隠す。

「……セシーリア」

 切なげに、消え入りそうな弱々しい彼の声。

 私の腕を壊れ物にでも触るように優しく取って、自分の首の後ろへと持っていく。

「泣くな…俺が、あんたの不安も何もかも忘れさせてやるよ」

 彼の真っ直ぐな瞳に、その言葉に、縋っていいの?大切なボーイフレンドを裏切ってまで?

 だけど、そんな躊躇う気持ちを拭うように彼が指で涙を掬い取り、私の唇へキスを落とす。

 私は両腕を彼の首に回して、その与えられる甘い刺激と温もりに目を閉じた。

 密着する熱い肌も、キスの合間に混じり合う吐息も、全て私を蝕ませる毒でしかない。彼と肌を重ねることは罪、いずれその罰がやってくる。…それでも、今は彼を無我夢中に求めるしかなかった。