Caught by …

 私の抵抗なんて彼に通じない…いや、私が本気で抵抗すれば彼は手を離して、ここから出ていくだろう。心の奥底にある私の気持ちを彼は見抜いている。

「なら、隣で眠るだけで良い。俺のせいで風邪をひかれたくないし、二人で寝た方があたたかいだろう」

 でも…と形だけの反論を無視して、彼は布団の中へと私を入り込ませた。

「ほら、あたたかいだろ?…あんたもその邪魔な服を脱いじまえば、もっと互いの温もりを感じられるけどな」

 背中と腰に回された腕、いたずらに触れ合う足、目のやり場に困るほとんど裸姿の彼。私の暴れ狂う心臓の音が彼に届いてしまいそうなのに、彼の言葉がさらに私を狂わせる。

「緊張してるんだな…すごいドキドキしているのがこっちまで伝わってくる」

「わざわざ言葉にしないで、もう寝てよ」

 わざと冷たくぴしゃりと言うのを、彼は面白そうに喉を鳴らして笑う。

「いや…当分は寝れそうにないな。俺のあそこが疼いてどうにかなりそうだ。あんたが静めさせてくれるなら話は別だが?」

「なっ‼やっぱりだめ!私、もう…」

「冗談…でもないけど、俺から離れるのは許さない」

「あなたって、いつもそうなの?その命令するような口調は嫌い」

 精一杯の強がりも彼にとっては意味がないらしい。

「じゃあ、この口調以外はあんたの好みかい?そりゃ光栄だな」

「…思ってもないくせに」

「出会った時よりずいぶん言うようになったな」