きっと、彼に触れられる瞬間は今だけのこと。夢のように不確かで、いつ消えてしまうのかと不安になる。
できればこの夜は、朝がきてしまうまでは彼の側にいたい。それが正しいことか否かは別として、常識なんて考えないで、二人だけのこの部屋で、ただ側に。
……だけど、そんなのできっこない。
私にはボーイフレンドがいて、彼にとってみても一文無しにさせられた迷惑な女としか私を見ていないはずだから。
私は彼から手を離す。明日は休日だし、少しくらい夜更かししてレポートを書いたり小説を読んで、それから窮屈な一人かけのソファーで寝ても平気だ。
ベッドから降りようと片足を下ろして彼から目を離した時、左手がぐいと引っ張られ、また元の体制に戻った。驚いて目を見開き彼を見ると、閉じていた目をゆっくり開けた。
「…離れるな」
その短く掠れた声に、その真剣で、なのに寂しげな瞳に、私は勘違いしそうになる。心を酷く乱される。
「だめよ、私はソファーで寝るから」
必死に冷静を取り繕う。
「ならどうして、俺に触れた?あんたも俺に触れてほしいからじゃないのか?何を恐れる必要がある、何を躊躇する。ここには二人しか居ない。誰も、何も、知らない。あんたの友人だって、ボーイフレンドだって、家族だって、今夜二人で何をしようと知りようがない」
「だ、だめ。私、あなたのこと、何も知らないし、あなたが望んでいること何も出来ない」
できればこの夜は、朝がきてしまうまでは彼の側にいたい。それが正しいことか否かは別として、常識なんて考えないで、二人だけのこの部屋で、ただ側に。
……だけど、そんなのできっこない。
私にはボーイフレンドがいて、彼にとってみても一文無しにさせられた迷惑な女としか私を見ていないはずだから。
私は彼から手を離す。明日は休日だし、少しくらい夜更かししてレポートを書いたり小説を読んで、それから窮屈な一人かけのソファーで寝ても平気だ。
ベッドから降りようと片足を下ろして彼から目を離した時、左手がぐいと引っ張られ、また元の体制に戻った。驚いて目を見開き彼を見ると、閉じていた目をゆっくり開けた。
「…離れるな」
その短く掠れた声に、その真剣で、なのに寂しげな瞳に、私は勘違いしそうになる。心を酷く乱される。
「だめよ、私はソファーで寝るから」
必死に冷静を取り繕う。
「ならどうして、俺に触れた?あんたも俺に触れてほしいからじゃないのか?何を恐れる必要がある、何を躊躇する。ここには二人しか居ない。誰も、何も、知らない。あんたの友人だって、ボーイフレンドだって、家族だって、今夜二人で何をしようと知りようがない」
「だ、だめ。私、あなたのこと、何も知らないし、あなたが望んでいること何も出来ない」



