見られていたことよりも、気持ち悪いと言われたショックで言葉をなくす私。
ほとんど初対面(私は前から彼を見かけていたけど、きっと彼は私を知らない)なのに、そんなひどいことを言うだなんて。
そんな私に構うことなく、彼は私から少し距離をとってアパートの門の前へと歩いていく。
ショックでうちひしがれながらも、その後ろ姿を目で追っていれば彼が私の方へ振り返った。そして何も言わず、だけど何か言いたげに私を見つめる。
当然、その何かを私が分かるわけもない。首を傾げるだけの私に彼は短く息を吐く。
「…ずっとそこにいるつもりか?それに一応助けてくれた恩人にこの寒さを気遣うこともなく、ましてや一文無しになった俺を野宿させようとしてる訳じゃないだろ?」
言われて、はっと気づく。
「ご、ごめんなさい!」
慌てて駆け寄って門を開ける私に、当然だと鼻を鳴らす彼。それがすこし気に障った気がしないわけもなかったが、確かに彼の鼻が赤くなっているように見えたし、私もそろそろ暖かい部屋が恋しくなっていた。
アパートは4階建てで、私の部屋は2階にある。
エレベーターはないので階段で上がる。踊り場に心許なくついた蛍光灯がカチカチとついたり消えたりを繰り返すのを通って上りきり、階段から一番近い部屋の前へと進んだ。
ほとんど初対面(私は前から彼を見かけていたけど、きっと彼は私を知らない)なのに、そんなひどいことを言うだなんて。
そんな私に構うことなく、彼は私から少し距離をとってアパートの門の前へと歩いていく。
ショックでうちひしがれながらも、その後ろ姿を目で追っていれば彼が私の方へ振り返った。そして何も言わず、だけど何か言いたげに私を見つめる。
当然、その何かを私が分かるわけもない。首を傾げるだけの私に彼は短く息を吐く。
「…ずっとそこにいるつもりか?それに一応助けてくれた恩人にこの寒さを気遣うこともなく、ましてや一文無しになった俺を野宿させようとしてる訳じゃないだろ?」
言われて、はっと気づく。
「ご、ごめんなさい!」
慌てて駆け寄って門を開ける私に、当然だと鼻を鳴らす彼。それがすこし気に障った気がしないわけもなかったが、確かに彼の鼻が赤くなっているように見えたし、私もそろそろ暖かい部屋が恋しくなっていた。
アパートは4階建てで、私の部屋は2階にある。
エレベーターはないので階段で上がる。踊り場に心許なくついた蛍光灯がカチカチとついたり消えたりを繰り返すのを通って上りきり、階段から一番近い部屋の前へと進んだ。



