Caught by …

「はぁ、ビックリした……!」

 心底、信じられないといった表情で頬杖をつくジェーン。しかし、頬がほんのり赤く染まっていて、そんな様子に私まで嬉しくなる。

「良かったですね、私もあの瞬間はドキドキして見守ってましたから」

 胸を撫で下ろす私に、彼女は何か言いたげな視線を送ってくる。

「セシーリア、余計なお節介だろうし、会ったばかりの人間にこんなこと言われるのは癪だろうけど……」

 そんな前置きを言うジェーンから私は視線をそらした。なんとなく、次に言われることが分かった気がした。

「逃げてちゃ、何も変わらないのだと思う。周りが変えてくれるのを待っていたって、それはあなたの望むものではないだろうし、望まない道を進んでしまえば、いつか本当に進みたいと思った道には進めないかもしれないわ」

「望みたい……道?」

 私が、本当に望むのは……

「私が、今日勇気を出せたのはセシーリアのおかげ。だから、今度は私があなたの勇気を出せるよう力になりたい」

「い、いいえ!私なんか、何もしてないのに」

「してるわよ……あなたはもう見つけているんでしょ、本当に望むものを。だから、ここまで逃げてきた。大好きな彼から少しでも離れたくないっていう強い想いで。だけど、もう逃げ続けるのは止めなきゃ」

 彼女の言葉に、我慢していた涙が目に溜まる。でも、私はそれを手で拭ってカクテルを煽った。

「私、彼が好きです。けど今のままじゃ、彼には会ってもくれないかもしれない。だから、変わりたいです。誰かの言いなりになって生きるんじゃなく、自分の気持ちに正直になれる、そんな人に」