思えば、私はずっと逃げていた。姉から、両親から、自分の弱さを隠そうと、ずっと。
「じゃあ、今度は戦わないと」
楽しげに、けど、何か覚悟を決めたような強さを持ってかけられた言葉。私は隣の彼女に首を傾げた。
「逃げた分、戦えばいいのよね。ほら、不意討ちってやつかしら?初めは不安で失敗するかもしれない。でも、自分の気持ちにいつまでも蓋をしたままじゃ、前に進めずに縋りついて……って、そんなの時間の無駄じゃない?」
私は何も返すことが出来なかった。
戦うなんて、考えたことがなかったから。
自分の気持ちさえ抑えれば上手くいくことが多い。だから、私はいつだってそうやってきた。だって、その方が……楽だから。
「私、前はもっと行動力があった気がする。無理だと思う相手にだって、構わずに……それでフラれる事も少なくはなかったんだけど、ちゃんとその気持ちに区切りをつけられた。だから新しい道を進めていたんだと思う」
彼女は目を輝かせて話す。その姿は出会った瞬間よりも綺麗で、たくましく見えた。
「あなたの話を聞いていたら、そんな気がしてきたの。私も自分の気持ちを抑えようと、忘れようと頑張ってた。でもそんなんじゃ意味がない……セシーリアも、そうじゃない?」
「わ、私は……」
躊躇う私を見ていたジェーンはカクテルを喉に流し込んで「ダレル、来てくれる?」と彼を呼んでいた。
「ジェーン?」
彼女は少しだけ不安そうな表情をしているが、にっこりと微笑んで、近づいてきた彼に目を向けた。
「じゃあ、今度は戦わないと」
楽しげに、けど、何か覚悟を決めたような強さを持ってかけられた言葉。私は隣の彼女に首を傾げた。
「逃げた分、戦えばいいのよね。ほら、不意討ちってやつかしら?初めは不安で失敗するかもしれない。でも、自分の気持ちにいつまでも蓋をしたままじゃ、前に進めずに縋りついて……って、そんなの時間の無駄じゃない?」
私は何も返すことが出来なかった。
戦うなんて、考えたことがなかったから。
自分の気持ちさえ抑えれば上手くいくことが多い。だから、私はいつだってそうやってきた。だって、その方が……楽だから。
「私、前はもっと行動力があった気がする。無理だと思う相手にだって、構わずに……それでフラれる事も少なくはなかったんだけど、ちゃんとその気持ちに区切りをつけられた。だから新しい道を進めていたんだと思う」
彼女は目を輝かせて話す。その姿は出会った瞬間よりも綺麗で、たくましく見えた。
「あなたの話を聞いていたら、そんな気がしてきたの。私も自分の気持ちを抑えようと、忘れようと頑張ってた。でもそんなんじゃ意味がない……セシーリアも、そうじゃない?」
「わ、私は……」
躊躇う私を見ていたジェーンはカクテルを喉に流し込んで「ダレル、来てくれる?」と彼を呼んでいた。
「ジェーン?」
彼女は少しだけ不安そうな表情をしているが、にっこりと微笑んで、近づいてきた彼に目を向けた。



