説得力ないなぁとぼやく彼女はカクテルを一気に飲みきって、違うバーテンダーに新しいお酒を頼んでいた。
「セシーリアは大学生よね?」
一杯目をまだ飲んでいる私は「はい」と頷いて飲み干した。カシスの甘さが飲みやすいのでごくごくと飲んでも喉につっかえない。
「いいわね、勉強は大変だろうけど今の内に楽しめるだけ楽しんどかなきゃ!彼氏はいるんでしょ?」
その質問にどう答えようかと考えあぐねる私に、ジェーンは事情を勘ぐったのか「答えたくなければ……」と言いかけた。しかし私は首を振って彼女に笑いかける。
「私、ボーイフレンドがいるのに、違う人を好きになってしまったんです。彼は、冷たくて意地悪で滅多に好きなんて言ってくれなかったけれど、ほんとは優しくて、キスが上手くて、私が泣いてると抱き締めてくれて……」
話をしている間にも溢れてしまいそうになる感情を抑えたって、レイへの想いは大きくなる。私は一度深呼吸をした。
「大好きでした……なのに、私はサヨナラの一言で彼から逃げました。ボーイフレンドに彼のことを知られて、私は逃げたんです。自分を守るために、いい子を演じて、こんな私なんかを想ってくれた彼の気持ちを、踏みにじって」
「……それでも、忘れられないのね、その彼のことが」
ジェーンの言葉に、私は唇を噛んで俯く。
「どうしようもない人間なんです、私は。どんなに忘れようとしたって、気持ちを消そうとしたって、出来るわけなくて、挙げ句の果てにボーイフレンドの家族もいるディナーの席で両親と言い合って、また逃げてきました。……その理由が、このままいい子になって両親のいいなりになれば、本当にもう二度と彼に会えなくなってしまうんじゃないかって、それだけで」
「セシーリアは大学生よね?」
一杯目をまだ飲んでいる私は「はい」と頷いて飲み干した。カシスの甘さが飲みやすいのでごくごくと飲んでも喉につっかえない。
「いいわね、勉強は大変だろうけど今の内に楽しめるだけ楽しんどかなきゃ!彼氏はいるんでしょ?」
その質問にどう答えようかと考えあぐねる私に、ジェーンは事情を勘ぐったのか「答えたくなければ……」と言いかけた。しかし私は首を振って彼女に笑いかける。
「私、ボーイフレンドがいるのに、違う人を好きになってしまったんです。彼は、冷たくて意地悪で滅多に好きなんて言ってくれなかったけれど、ほんとは優しくて、キスが上手くて、私が泣いてると抱き締めてくれて……」
話をしている間にも溢れてしまいそうになる感情を抑えたって、レイへの想いは大きくなる。私は一度深呼吸をした。
「大好きでした……なのに、私はサヨナラの一言で彼から逃げました。ボーイフレンドに彼のことを知られて、私は逃げたんです。自分を守るために、いい子を演じて、こんな私なんかを想ってくれた彼の気持ちを、踏みにじって」
「……それでも、忘れられないのね、その彼のことが」
ジェーンの言葉に、私は唇を噛んで俯く。
「どうしようもない人間なんです、私は。どんなに忘れようとしたって、気持ちを消そうとしたって、出来るわけなくて、挙げ句の果てにボーイフレンドの家族もいるディナーの席で両親と言い合って、また逃げてきました。……その理由が、このままいい子になって両親のいいなりになれば、本当にもう二度と彼に会えなくなってしまうんじゃないかって、それだけで」



