Caught by …

　私の言葉にその場の空気が凍りつく。母の顔はだんだん青ざめて、トム達家族は私と母親の両方を見比べて戸惑っているのが見える。

　これ以上は駄目だと分かっていて、それでも、私は自分を止める方法を知らない。

「ねぇ、お母さんにとって言いなりにならない子供は要らない？本当はお姉ちゃんが死んで嬉しかったんじゃないの？」

「やめなさい！」

　その怒鳴り声はお父さんからだった。いつも温厚で優しかった父の初めて見る、険しい表情だった。そのお父さんに肩を支えられているお母さんは、青ざめたまま呆然としている。

「お母さんは私たちの事なんて何一つ考えてないのよ！いつだって自分が良い母親として見られていたかっただけ。私はその道具に過ぎないんでしょう？」

　悲しいのか、怒っているのか、それとも怖いのか、分からない。とめどなく流れる涙も、溢れる感情も止められない。

「私は、あなたの人形じゃない」

　その答えは、不正解。

　その答えは、今まで正解した答えを全て白紙に戻してしまう。

　その答えは、何もかも、壊してしまう。

　そして、また私は逃げる。

　私を呼ぶ誰かの声が聞こえたけれど、私は逃げる。

　最悪な、メリークリスマス。

　目的地なんかない。私はひたすら走って逃げた。