Caught by …

 母の向こうから賛同する父親の声。

 また一つ、私の道が決まっていく。その先に、私の求める人は居ない。離れていくばかり。


“自分の道は自分で決めなきゃ”

 ……無理よ。

“あなたはお母さんの人形じゃないんだから”

 ……だって、決められた道じゃないと歩けない。


“セシーリアが離れない限り、俺はどこにも行かない”

 ……レイ、私は間違っているの?


「セシーリア、何を黙っているの?せっかくのお誘いなんだから受けなさい」

 私を見つめる母の目、威圧的な声。私の全てをコントロールしてきたそれは、私という人間に向けられた期待とか、そういうものなんかではない。

 母にとって、私はただの人形。

 自分の思い通りになる、着せ替え人形。

 握り締めた手に爪が食い込んで痛い。息をするのさえ苦しくて、何か喋らなければと思うほど喉は声を出すのを拒む。

 もう、嫌だ。

 嫌だ、嫌だ、嫌、嫌っ‼

「セシーリア!いい加減に……」

「やめて、もう、やめてよ!そうやって私の全てを決めていかないでよ、もう、うんざりだわ‼」

 今まで堪えていたものが溢れだして、奥底から引き出すように叫ぶ。皆が口を閉ざして、私を見つめていた。

「お姉ちゃんが家を出ていったのだって、あなたのそういう所が嫌だったからよ。そのせいで、一人で、死んでしまったのよ!」