トムは私の気持ちをよく理解してくれる人。一人が淋しい時には、出来るだけ側にいてくれた。気分が良い時には、一緒に笑ってくれた。
だから、私の気持ちが彼ではなくレイに向けられていることに気づかない訳がなかったのだ。それに知らないふりをして逃げていた私を、トムはどんな気持ちで見ていたのか。情けないけれど、私には全然分からない。
周りの喧騒がやけに遠くて、トムの不安に揺れる瞳や二人の重苦しい空気が私を取り囲む。
「初めはなんとなく、そう感じていただけなんだ。でも……」
トムは苦しそうに言葉をつまらせる。私は何も言えないでいる。
「僕の、友人が見たらしいんだ。君が、僕じゃない男といる所を」
一気に体温が奪われたようだった。何もかもが崩れようとしていた。私に為す術はない。
一体、どこで見られていたのだろう?いつ?誰に?そして、いつからそれを知っていて、それを聞いてどう思ったのだろう?
「教えてくれないか?」
酷い事をしている私を責めたりはせずに、むしろ懇願するようなトムの気持ちも私には分からない。
「僕たちは上手くやっていたはずだ。喧嘩もしないし、二人の時間も楽しく過ごせていた。何も問題はなかった。でも、もし僕の気にくわない所があったのなら教えてくれないか?」
なんの間違いもない、正しい言葉。
不意に握られた手。私をいつも安心させてくれた大きな手。なのに私はその手を握り返すことができない。
「僕は君だけを想ってる、とても、すごく……言葉で表せないほど」
だから、私の気持ちが彼ではなくレイに向けられていることに気づかない訳がなかったのだ。それに知らないふりをして逃げていた私を、トムはどんな気持ちで見ていたのか。情けないけれど、私には全然分からない。
周りの喧騒がやけに遠くて、トムの不安に揺れる瞳や二人の重苦しい空気が私を取り囲む。
「初めはなんとなく、そう感じていただけなんだ。でも……」
トムは苦しそうに言葉をつまらせる。私は何も言えないでいる。
「僕の、友人が見たらしいんだ。君が、僕じゃない男といる所を」
一気に体温が奪われたようだった。何もかもが崩れようとしていた。私に為す術はない。
一体、どこで見られていたのだろう?いつ?誰に?そして、いつからそれを知っていて、それを聞いてどう思ったのだろう?
「教えてくれないか?」
酷い事をしている私を責めたりはせずに、むしろ懇願するようなトムの気持ちも私には分からない。
「僕たちは上手くやっていたはずだ。喧嘩もしないし、二人の時間も楽しく過ごせていた。何も問題はなかった。でも、もし僕の気にくわない所があったのなら教えてくれないか?」
なんの間違いもない、正しい言葉。
不意に握られた手。私をいつも安心させてくれた大きな手。なのに私はその手を握り返すことができない。
「僕は君だけを想ってる、とても、すごく……言葉で表せないほど」



