静かな午後。穏やかで、心の浮き沈みのない、平和な部屋。
…ある一部を除いて。
「おい、ガリ勉女」
「静かに!私の我が儘を聞いてくれるんでしょ」
今日から彼の特等席となった高級ソファーにだらしなく座って、つまらなそうに欠伸をするレイ。
カップケーキを食べた罰として、私の我が儘を聞くと言ったのは彼だ。そして、それに私は「静かに勉強を出来るように、私の邪魔をしないで」と言ったのだ。
「もっと他の我が儘があるだろう」
一度手を止めて、彼を無言で見つめる。
『邪魔するなら追い出すわよ』
目に力を込めて。
彼は肩をすくめさせ、長い足を器用に折り畳むと横向きに丸まって盛大な嘆息を漏らした。
…たまには我が儘を言うのも悪くない。いじける(私にはそう見える)彼も見物だ。
「なぁ」
声をかけられても返事はしない。…少しの間をあけて、横目で彼を見る。
「俺が、もしも…」
躊躇うように途切れた言葉。その続きを言おうとしない彼を焦れったい気持ちで待つ。だけど頑なに口を閉じて、遠くを見つめたまま動かない。
「どうしたの、レイ?」
ペンを置いて、体を彼の方へ向ける。彼は私をちらと見て、すぐに目を反らした。
「いや、別に。気にするな」
何か大事なことを話すものだと思っていた私は拍子抜けして「そう」とだけ返した。体を机に戻して、それきり私も彼もそれぞれの時間を過ごした。
…ある一部を除いて。
「おい、ガリ勉女」
「静かに!私の我が儘を聞いてくれるんでしょ」
今日から彼の特等席となった高級ソファーにだらしなく座って、つまらなそうに欠伸をするレイ。
カップケーキを食べた罰として、私の我が儘を聞くと言ったのは彼だ。そして、それに私は「静かに勉強を出来るように、私の邪魔をしないで」と言ったのだ。
「もっと他の我が儘があるだろう」
一度手を止めて、彼を無言で見つめる。
『邪魔するなら追い出すわよ』
目に力を込めて。
彼は肩をすくめさせ、長い足を器用に折り畳むと横向きに丸まって盛大な嘆息を漏らした。
…たまには我が儘を言うのも悪くない。いじける(私にはそう見える)彼も見物だ。
「なぁ」
声をかけられても返事はしない。…少しの間をあけて、横目で彼を見る。
「俺が、もしも…」
躊躇うように途切れた言葉。その続きを言おうとしない彼を焦れったい気持ちで待つ。だけど頑なに口を閉じて、遠くを見つめたまま動かない。
「どうしたの、レイ?」
ペンを置いて、体を彼の方へ向ける。彼は私をちらと見て、すぐに目を反らした。
「いや、別に。気にするな」
何か大事なことを話すものだと思っていた私は拍子抜けして「そう」とだけ返した。体を机に戻して、それきり私も彼もそれぞれの時間を過ごした。



