Caught by …

 でも…と言った私の腕を掴んで自分の方に引き寄せるレイ。

「これは俺専用。あと…」

 言葉を区切った彼は私の腕を更に引っ張って体勢を崩させると、私を抱き寄せて顎を持ち上げた。

「セシーリアを可愛がるためだ」

 怪しげに笑うと、軽く触れるキスを落とす。

「セシーリアがこのソファーに座ったら、俺とセックスしたいって意味だからな」

 まっすぐに見つめたまま変なことを言うものだから逃げようとするが、彼の腕がしっかりと掴んで逃げさせない。

「レイっ、からかわないでよ」

 緊張を誤魔化すために笑って俯く。

「からかっているつもりはない。俺はいつだって本気だ」

 けれど、決して私を逃がそうとしない彼は顔を覗き込んで、私の名前を呼ぶ。

 そうすれば、私はたちまち彼の言う通りになってしまうのを彼は知っているんだ。

 速くなる鼓動と触れそうで触れないレイの唇、心の奥底の欲望。

「ほら、分かったなら返事しろ」

 声なんて出せるはずがなくて、無言で頷く。

「聞こえないな、セシーリア?」

 甘く囁く、その掠れた声に体がぞくぞくと反応する。

「わ、わかった…から、離して」

 恥ずかしさでいっぱいな私は、緩んだ腕から逃げるようにして立ち上がった。彼がどんな表情をしているか見る余裕もなくて、そのままキッチンへ向かった。