店から出て、軒先を歩いてすぐに目的地に着いたようだ。夜空に映えるネオン、壁に並ぶ独特で個性的なポスター。
「映画を見るのね」
隣の彼を見上げて聞くと、彼は意地悪い顔をしただけで中へと導く。嫌な予感がした気がするけれど、私は彼について行くしかない。
入ってすぐのチケット売り場で、上映する映画の欄を見てみると、メジャーなものもあるがそうじゃない映画もいくつかあって、彼はその中の一つを選んで二人分のチケットを買っていた。
チケット売り場から中に入ると、そこはカフェになっていて、映画館らしくポスターがあちこちに貼られている。
「時間までまだあるから、先に飯でも食べておくか?」
「ええ、それは良いけど…ねぇ、どんな映画なの?」
彼は面白そうに肩をすくめて私を席に座らせると、注文を取りに行ってしまった。
その後ろ姿を目で追う。
やっぱり彼はどこにいても目立っていて、周りの人の視線を集めている。
私は一つ息をついてレイから目を離した。そして、何気なく向いた先にいた男の人と目が合った。見覚えはないが、なぜかその人は目を反らそうとせず私を凝視していて、気まずくなった私が最初に目を反らす。
どうしてだろう、なんだか怖い。
私は下を向いて、膝の上で両手を握り締めた。
誰なのか頭の中の記憶を探っても検討もつかない。だけど、確実にその人は私を見ていて、知っているような目だった。
「映画を見るのね」
隣の彼を見上げて聞くと、彼は意地悪い顔をしただけで中へと導く。嫌な予感がした気がするけれど、私は彼について行くしかない。
入ってすぐのチケット売り場で、上映する映画の欄を見てみると、メジャーなものもあるがそうじゃない映画もいくつかあって、彼はその中の一つを選んで二人分のチケットを買っていた。
チケット売り場から中に入ると、そこはカフェになっていて、映画館らしくポスターがあちこちに貼られている。
「時間までまだあるから、先に飯でも食べておくか?」
「ええ、それは良いけど…ねぇ、どんな映画なの?」
彼は面白そうに肩をすくめて私を席に座らせると、注文を取りに行ってしまった。
その後ろ姿を目で追う。
やっぱり彼はどこにいても目立っていて、周りの人の視線を集めている。
私は一つ息をついてレイから目を離した。そして、何気なく向いた先にいた男の人と目が合った。見覚えはないが、なぜかその人は目を反らそうとせず私を凝視していて、気まずくなった私が最初に目を反らす。
どうしてだろう、なんだか怖い。
私は下を向いて、膝の上で両手を握り締めた。
誰なのか頭の中の記憶を探っても検討もつかない。だけど、確実にその人は私を見ていて、知っているような目だった。



