画家と大家

「…泣いてるの?」

「うるせぇよ」



涙を舐められた。それから体中も。もう何も考えられなくなってた。


パイプベッドの軋む音が、小刻みに速くなる。


どうでもいいと思った。




事が終わると彼女は煙草を一本吸い、さっさと帰った。


「たまには泣きなさいよ」


と、


一言だけ添えて。



煙草の匂いは嫌いだ。