「…ほら、離…して」


ゆっくりと首から引き離された手。



前言の意味を理解出来ないままに、事の重大さだけが後追いで認識された。


「…何うずくまってんのよ。顔上げて」


膝を抱えてた。言われた通りにすると目の前に顔があった。



「悔しい?悲しい?…怒りたきゃ怒りなさいよ」



女の瞳に俺が映ってた。



「俺は…あんたが嫌いだ」


「あははは、あっそ」



…何だ?



「ちゃんと嫌な顔出来るじゃない」


「え?」


「さっき怒ってすらいなかった。なんも読み取れなかった」