鬱屈に重なり耳に届くドアを叩く音。振動がビリビリ壁を伝う。安壁が。


ドア付き魚眼レンズに見覚えのある女。


めんどうだ。



思いながら鍵を捻ると、せっかちにドアが開けられた。


「…やっといた!部屋代また入ってないよ?」



この女、大家。



「ちょっと今キツくて…待って貰えます?」


「また?…まぁいいけど」



めんどくさそうに、腰まで伸びた長いストレートの横髪をかき乱した。


シャンプーかなんかのいい匂い。



「つか…うわ、きたなっ」



女が部屋に上がり、散乱した物を拾い始めた。