とにかく私もニコッと笑ってみせた。



「初めてだな。俺だけに笑ってみせたの。」


初めての笑顔が作り笑顔になってしまった。



そんな私に気付かず颯斗さんは時計を見た。



「もう遅いし帰るか。送るよ。」


温かい颯斗さんの手が私の手を包み込み、そっと握った。



私はその手に身を任せ、またバイクに乗った。