自分の鞄に入っていた刃物を取り出し手首を切ろうとしたらゼナさんに腕を掴まれた。

「...なんで止めるんですか?」

「死神とて目の前で人が死のうとしてる所なんて見たくない。」

私は悔しくて悔しくて涙が止まらなかった。「こんなにも望まれてない私に生きる価値なんてないんだから、もう…」

私は喉に留まっていた言葉を飲み込んだ。ゼナさんの腕に包まれて、今までの苦労が水のように流れていった。