「出来た……」


お弁当を作り終えて満足気にお弁当を見る。


お父さんもお母さんも両方とも仕事が忙しくてあまり家にはいないから、掃除も洗濯も料理も私の仕事。


家事は小さい時からしてるから得意だ。


時計を見て私は自分の部屋に向かった。


鞄に教科書を詰めて鏡で前髪をちょいちょいと直す。


そんな事しても可愛くならないんだけどさ。


いつものように髪の毛をツインテールにして部屋を出た。


リビングに行くと、テーブルに座ってお弁当のおかずの残りを食べてる人がいた。


その人を見て心臓がドキンと鳴る。


だってこの人は隣に住む幼馴染み。


そして私の『好きな人』。


「雅(みやび)くん……っ!?」


「なんだよ。何驚いてんの?」


梶原 雅(かじわら みやび)くんは同じマンションの隣に住む幼馴染み。


親同士も仲が良くて、私と雅くんはいつも一緒にいた。


だからこうして普通に私の家に雅くんが入ってきたりする事がある。


それも頻繁に。


私は顔を赤くしながら口を開いた。


「な、なんで雅くんが!?」


「は?お前迎えに来たに決まってんだろ?何言ってんだよ」


「だ、だからもう迎えに来なくていいって言ったよ……っ」


そう。


この幼馴染みから離れるために必死で色々しているのに……。


「ふざけんなよ、杏里(あんり)」


「っ!?」


「毎朝毎朝同じ事ばっか言いやがって。いい加減聞き飽きた」


そう言いながら壁に追い詰められて逃げ場をなくされる。