その扉の向こう側

真波の目から涙が流れ、それを何度も何度も拭っている。



本当にどうしようもないくらい都合のいい話だ。



どれほど俺は真波のことを傷つけてきたのか分からない。



だけど



何度目か分からないくらい涙を拭ったあとに見せたその笑顔で、俺はようやく扉を開けることができるような気がした。