なんだろうね、と笑う転校生。

「直感?」

「は?」

思わず聞き返す。
直感だと?
ハッ!あり得ない。
なにか理由があってだろう。
なにが理由だろうか……

「私のような仏頂面無表情女子を惚れさせられるか自分をためしに来たのか?」

「んな分けないでしょ。」

半眼を作り、転校生を見つめる。
スマホを使いつつ、転校生は言った。

「そんなに見つめないでよ!」

おまえは女子か。
女々しすぎる。
スマホを使いながら話すとは、コイツは女子じゃ無いのか?
だが、見た限り嘘のようにはみえない。
ではなんだろうか……
ああ、分かった。
きっと私に惚れたんだろう。
決してナルシストではない。
分からないからと「ふぇ?」とか「ほぇ?」等と天然になれば女子からの圧が強くなるためダメだ。
なら……

「お前のような転校生に興味は無い。」

「えー!酷いなぁ!」

「酷いと思うなら早く失せろ。」

口喧嘩だ。

「大体お前は常に女子を惚れさせてる為私のようにお前に興味は無い女子に媚を売るよりこのクラスにいる女子を選ぶのが最善策だ。」

「なんで最善策なんだ?」

私に惚れているのなら。

「私と一緒にいても会話は無し。笑顔も無し。手助けも無し。だが他の女子といれば会話は弾むし女子は笑顔だし喜んで手助けもしてくれるだろう。お前がモテたい一心でこちらにきてないとしても、勉強や友達関係の面で快適に暮らせるだろう。私といるより他の女子といるほうがお前にとって良い。他のクラスの女子とは席を横にでき無い為私以外の女子と横になるのが最善策と言えるだろう。」

私に呆れてもらうしかない。

「ふーん。」

困った様子で言う転校生。
呆れたか。
私が安心しきったその時、転校生はまた口を開いた。

「でもさぁ。俺、基本的に五月蝿いの嫌だし。」

なんだと?

「見るからにチャラそうだが?首筋にキスマークは付いてるし、お前が今いじっているスマホのラインで女の名前がたくさんあるし。なにしろトークの言葉に「俺はお前の彼女だから。」を計三回打っている。そして女からの返信に「タケルってゲームセンター好きだよね。」とあったが、静かなクラシックが流れるゲームセンターなんて聞いたことも見たこともない。」

とどめだ。
だが、転校生は怯まない。

「スッゴいじゃん!」

ヘラヘラと呑気に笑う。

「私のような女は嫌だろう?」

「ううん。むしろ遊びがいがあって好き。」

「この女誑し(オンナタラシ)が。」