「真尋ーー!遅刻するわよー!急ぎなさーい!!」

「うわ、うわー!母さん!起こしてくれてもいいじゃん!!」



今日は入学式。
初日で遅刻はあり得ない。


なんとしても間に合え!私!


私は鏡の前に立って髪をセットしようとした。

鏡の中の僕は

....寝癖がセットしたみたいになってる!

ベリーショートの髪。
毛先の方向バラバラだけど
無造作ヘアーでいけんじゃね.....!


よし。これならバレないよな....寝癖って!


よし。あとは制服に着替えて...


の前にコルセットで胸を締め付けて!

あーもう....これが時間掛かんのよ。



私には秘密がある。


かくかくしかじかで、


私は、女という性を偽って男として生きる道を選んだ、ワケアリ男子ってとこ。



しかし、

心までは男に為りきることができず。


少女マンガ大好き、恋に恋する



正真正銘の乙女....だってことも隠さないといけない。




私は着替え終わると鏡の中の自分を見た。


「よし!今日も男前!頑張れ私!」




玄関まで行くと、お母さんが心配そうな顔で立っていた。
「あんた...気を付けなよ、本当。」



「ん。大丈夫だよ!」


私は靴ひもを結び終わると母さんを見て言った。


「母さん。私は後悔してないよ。大丈夫だから。充分に気を付けるから。」



「.....いってらっしゃい。いい?あんたは私の娘であり誇りよ....真尋」


その言葉を聞いた瞬間、
ジーンと目頭が熱くなるのを感じた。


「ありがとう。母さん。じゃ、行ってきます!」


そう言って向こう三年は帰れないであろう
わが家を後にした。