溺愛王子とヒミツな同居2




「それ、俺のなんだろ」



「えっ?」



思わずお菓子を引っ込めそうになった時、大翔君が右手を私に伸ばしてくる。



「他の奴からは貰ってないから。

俺のために作ってくれたんだろ」



他の子からは貰ってない?



たったそれだけなのに、そのことがすごく嬉しくて、勝手に頬が緩む。



「貰って、くれるの?」



「まりやが作ってくれたものを他の奴に渡すなんてあり得ないから」



大翔君は、いつも私が欲しい言葉をくれる。



ひと言でどれだけ私を嬉しくさせてるか、きっと気付いてない。



遠慮がちに大翔君の手のひらにお菓子の入った包みを乗せると、嬉しそうに目を細める。



「たぶん上手にできてる……と思う」



自信なさげに言う私の目の前で、ラッピングのリボンを解いて、プレーン味のマドレーヌを1つ掴むと、そのままパクッと食べてしまった。



ドキドキしながらその光景を見守ってると、口に入ったマドレーヌを飲み込んでから大翔君が私に目を合わせる。