「あっ!!」
そうだ! お菓子!!
突然、大きな声を出した私に驚いた大翔君に謝ってから、体を離してもらう。
大事なことを思い出した私は、ソファの下に置きっぱなしにしていた鞄から、学校で作ったお菓子を取り出した。
後ろ手に隠したお菓子を持って大翔君に振り返る。
「あのね、もうたくさん貰ってるから、私からのはいらないかもしれないけど……」
不安な気持ちを押し出すように、後ろ手に持っていたお菓子を思いきり大翔君に向かって差し出した。
大翔君が喜んでくれるかなって思いながら、初めて好きな人のために作ったお菓子。
緊張で両手が小刻みに震える。
受け取ってくれるまでの時間がすごく長く感じられて、大翔君を見つめていると、
「これ、俺に?」
「上手にできてるかわからないけど……。
あの、でも! 大翔君は他の子からも貰ってると思うから、無理しなくても全然いいよ」
大翔君に渡したいから作ったのに、今頃になってやっぱり迷惑かな……なんて思ったりして……。
お菓子を持っていた手から、だんだんと力が抜けて腕を下ろしそうになる。

