溺愛王子とヒミツな同居2




麻生先輩と別れたあと、教室に鞄を取りに行って、大翔君に手を引かれてそのまま帰宅した。



「あの先輩と何話してた?」



家に帰るまで、ほとんど話さなかった大翔君がリビングに入るなり聞いてきた。



「何って、大翔君を探してたらぶつかっちゃって、転びそうになったのを助けてもらっただけだよ」



「他には? あいつに何もされなかった?」



どうしてこんなことを聞いてくるんだろうと思いながら、黙って頷くと



「はー……。よかった」



一気に体の力が抜けたみたいに、ドサッとソファに体を預けた大翔君。



そんなに心配させてしまったのかと、ひとりで内心不安になってると、ソファの近くにいた私の手を握ってきた。



「あの麻生って先輩、女にはかなり手が早いって、うちの学校じゃ有名な人なんだよ。

光と似たようなタイプの人だけど、彼氏がいる女にまで平気で手を出すって聞いたことあるから、光よりも面倒な人だ。

前にお前と同じだろってあいつに言ったら『あんな磁石みたいに女の子を吸い寄せるヤツと一緒にするな』って怒られたから、覚えてたんだよ」



来るもの拒まずどころか、自分から行くタイプでもあるってこと?



そういうタイプの男の人に慣れてない私は、大翔君から話を聞いただけでちょっとだけ怖くなった。